新米塾講師であった20年ほど前は、塾では点数をとらすことだけを考えた指導をすればいいと安易
に考えていたのだが、今も北中の学区で塾を運営されてる元直属の上司、いわば師匠にあたる先生の指
導を受けて、社会で通用する人間の育成というものを強く意識するようになった。生徒のとった行動が
「社会人として通じない」と判断した場合には、相応の指導を入れているつもりだ。
例えば遅刻・欠席の連絡1つとってもそうだ。わずか1分でも遅刻の可能性が出た場合は、必ず連絡
を入れるようにと指導している。そもそも始業5分前入室を義務付けているので、1分ほどの遅刻であ
れば本来“塾としては”大勢に影響はないのだが、これが社会人同士のアポイントメントであった場合は、
無断の遅刻は許されない。最悪の場合、契約破談という事態も起こりうる。だから、1分の遅刻であっ
ても、「遅刻の可能性があれば、間に合う・間に合わないに関わらず連絡するように」という話をして
いる。提出物もそう。原則その日のうちに居残りをしてでも提出させている。期限を守ることも、社会
では当然のように求められるからだ。
今現在気になっているのは、指示待ち・指示通り人間が増えたなということ。塾に通っているが故
に、「先生に言われたことだけをやればいい」と勘違いしているようだ。中3生には先日話をしたのだ
が、言われたことプラスαをしなければ他人を出し抜くことなどできない。現状を打破したい
のであれば、指示された内容に対し当たり前の用に何かを付け加える
べきなのだ。10のことをやるように指示されたのであれば、何かできることはないかを考えてそれ
を11、12にする。そうすることで自分の今の殻を破ることができるようになる。これは社会人でも
必要なこと。指示されたことしかできないのであれば、「代わりのきく人材」ということで、いつでも
切り捨てられる可能性がある。AI化の進む未来では、尚更だろう。逆に、指示されたことに対しプラ
スαを付け加えられる人であれば会社に必要な「人財」として、重宝されるはずである。
こういったことは大人になったら勝手にできるようになるものではない。日ごろの意識がモノをい
う。だからこそ、学生のうちからそういった意識で勉強に取り組んでもらいたいと思う。学伸塾を巣立
った生徒たちが、社会で必要な人財になってくれることを心底願っている。