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「待ち」も必要

 その昔、当時の直属の上司(いわば僕の師匠筋)に言われたのが、「手が止まっている

 

生徒にはドンドンと教えてやってくれ」という言葉。その上司に教えられたことの大半は

 

合点がいくものであり、学伸塾の指導の根底にあるものも多いのだが、僕にはこの台詞が

 

いまだに理解できない…。

 

 指導には「待ち」が必要かと思っている。何でもかんでも手取り足取り教えればいいと

 

いうものではない。生徒に精一杯思考させ、その上で原因箇所だけをピンポイントに説明

 

る。そうすることで生徒は「腑に落ちる」状態になるのではないかと思う。分かったつ

 

もりにさせても仕方がないし、しっかりと思考することを挟んでいないのだから、それで

 

は「次」に同様の問題ができるとは限らない。むしろ“ほぼできない”だろう。我々講師が

 

目先のラクを選んではいけない。しっかりと情報を知識に変えさせるには“脳への落とし込

 

み”が必要。そのためにも生徒をよく観察し、どのタイミングでどういった説明をすれ

 

ば“腑に落ちる”状態をつくれるのかを見極めることが指導の妙味だと思う。ああでもない

 

こうでもないと沢山思考させた後のピンポイント説明で、「あああっ! そういうこと

 

か!!」という生徒の声を聞くと、“仕事したな”という気になる。この台詞が出てくる

 

と、もう類題でもしっかりと対応できるようになっているよね。僕にはこれが指導の1つ

 

の正解だと考えられるけどなぁ。