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地力を養うために

 長年の塾講師生活の中で

 

 随分と指導スタイルが変わった。

 

 思えば、

 

 素人同然であった新人の頃は

 

 直属の上司に言われるがままに

 

 テスト対策授業を行っていた。

 

 その上司曰く

 

 「太田君、生徒の手が止まっていたら、ドンドン教え込んでやって」

 

 …

 

 当時は違和感なく

 

 「そういうものか、そうだよな。塾に説明を聴きに来ているんだもんな…。」

 

 と思っていたが、

 

 今考えると

 

 生徒の思考の機会を奪い

 

 地力を養うことを阻害していただけのような…。

 

 随分と場当たり的な指導をしてしまったものだ…。(苦笑)

 

 

 

 もちろん、今はそのようなことはしていない。

 

 (新単元の基本事項の授業は教え込むが…。)

 

 テスト対策期間の演習中でも

 

 解説をしっかり読ませて

 

 それでも理解できない部分だけを

 

 ピンポイントに説明する。

 

 学習内容を落とし込むにあたっては、

 

 生徒たち自身が

 

 “ああでもない…こうでもない…”と戦わねばならない。

 

 散々思考したあとで

 

 的確な説明が入ることで

 

 所謂

 

 “腑に落ちる”

 

 という状態ができるようになる。

 

 腑に落ちた内容に関しては

 

 その場かぎりの丸暗記ではなく

 

 “活きた知識”として

 

 印象強く脳裏に刻まれる。

 

 その積み重ねによって

 

 地力も養われていくし

 

 思考力も鍛えられていく。

 

 

 よって

 

 現在のテスト対策は

 

 部分説明が必要な問題以外は

 

 原則、黙々と副教材等を演習する。

 

 塾の仕事として

 

 「伝える」だけが仕事ではない

 

 ということに気付いたときから、

 

 そして

 

 真に生徒の学力を伸ばすには…

 

 ということを考えるようになってからは

 

 極力

 

 生徒たち自身で知識を吸収するように仕向けている。

 

 結局、

 

 伝えるだけじゃできるようにならないんだよね。

 

 “わかった気にする”

 

 のではなく

 

 “できる”

 

 という状態をつくるのが塾の役割。

 

 よって

 

 生徒に思考と試行をさせるように仕向け

 

 真の学力をつけるような指導をしなければならない。

 

 昔と比べると

 

 随分とテスト対策で声を出す機会が減った。

 

 専ら

 

 教室の雰囲気づくりと

 

 生徒の学習管理

 

 学習チェック

 

 がメインだね。

 

 

 でも

 

 これで生徒たちが結果を出しているので

 

 方向性としては

 

 間違っていないのだろうと思う。