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ゾーン

 このような仕事をしておきながら言うのも何だが…

 

 恥ずかしながら

 

 僕は決して頭の良い方ではない。

 

 よって

 

 塾業界に20年以上居座りながらも

 

 いまだに勉強は続けている。

 

 気が付けば40代になっているが、

 

 生涯でもっとも勉強したなと思うのは

 

 中3~高2にかけての約3年間だ。

 

 保護者会で

 

 “現状の自分では、志望する大学はおろか志望する高校にも入れない”

 

 という厳しい現実を告げられ

 

 “それはマズい”

 

 と思い、一念発起。

 

 無我夢中で、勉強した。

 

 勉強は平等だ。

 

 やればやった分だけ自分に返ってくる。

 

 それまで写しに写して、

 

 表面上だけ取り繕っていた宿題も

 

 始めて自力で解き、

 

 解説に食らいつき、

 

 得られる情報を己の血肉へと変えた。

 

 塾には通っていなかったため、

 

 頼れるものは己のみ。

 

 根本理解ができるまで

 

 それこそ何時間でも

 

 裏紙に考えを書き出し、

 

 思考と試行を繰り返した。

 

 自分の勉強は時間では区切らなかった。

 

 “今日はここまでやる”

 

 と決め、

 

 自分に課したノルマが終わるまではひたすら問題と格闘。

 

 気が付けば日付が変わっている、

 

 そんな日々だった。

 

 所謂、“ゾーンに入る”状態だったのだろう。

 

 当時は、そんな認識はなかったけれど…。

 

 高校時代は、問題のレベルが上がるから、

 

 1問、1問の理解に時間がかかった。

 

 今のようにネットは発達していなかったから、

 

 ひたすら参考書を見て、

 

 真似て、

 

 その中で理解に努めるしかなかった。

 

 それを思えば、

 

 今は恵まれている。

 

 ネット検索すれば、

 

 静止画でも動画でも

 

 情報が転がってるしね。

 

 自学がしやすいように思うのだが…。

 

 テスト対策に入り、

 

 演習がメインの状況の中、

 

 やたらと時計に目がいく生徒がいるのが気になる…。

 

 経験上、

 

 ゾーンに入っていれば、余計な情報は得ようとはしなくなる。

 

 目の前のものに集中し、

 

 声をかけられたときに

 

 “あれ? もうこんな時間?”

 

 となるものだと思う。

 

 学伸塾生を見ていると

 

 上の学年に進むにつれて

 

 ゾーンに入る率は高まるが、

 

 まだまだ全体的な比率は高くはない。

 

 勉強密度を濃くするために

 

 ゾーンに入ることは必要不可欠。

 

 どうやって

 

 ゾーンに入る率を高めることができるか、

 

 どのような働きかけが必要なのか、

 

 探求する日々は続く…。